ひとりの少女を評価するとき、あまりにもかんたんに、大げさな表現が使われること、またあまりにも軽すぎる言葉、エモいとかそういう単語が蔓延る状況を、ひどく憂慮している、と前置きする。
そのうえで以下のように定義する。
神の使いたる、天使を体現「しようとしてみせる」者のことを、アイドルと呼ぶ
神ではない。しかし人間でもない。天使である。
天使を表現しようとする、その意志と所作に、価値がある
繰り返すが、わたしは意志や所作を持たない一般女性が、神のように評価されている現状を嘆いたうえで、この定義を与えることに、留意していただきたい
アイドルを演じる少女の中身は人間ではあるものの、それを演じているうちは、人間から離れようとする。ここが大事だ。
アイドル、それは天使が地上に降り立った、仮の姿である
ひとつの仮定をおこう。
「神は全てを知る存在であり、天使は人間と神とのあいだの、架け橋の役目を負う」
この仮定をふまえ、もしそうであるなら、神の言い伝えに対し、天使は偏見を持たぬためにも、何も知らない方が望ましいといえる
つまり無知であればあるほど、神の言葉を曲解せずに伝えられるから、神の使いとしてふさわしいことになる
なぜ若い少女がアイドルにふさわしいと思われるのか。
それは、若い少女はつねに護られることによる。箱入り娘は、世間知らずのまま育ち、何も知らない。
ゆえに天使に最もふさわしい
少女がなにものにも縛られず、またなにものにも汚されていない無垢さを体現していることが、天使の条件にあてはまるから、アイドルにふさわしいのだ
ひとが天使を有り難がるのは、その無垢さにおいてもさることながら、
その背後に大いなる存在を見るからである
もし、少女たちがこれから社会に進出することが加速していくとしたら、アイドルと少女の結びつきは弱くなるだろう
どれだけの美貌があったとしても、天使を体現しようとする意志と所作がないと、アイドルと呼ぶことはできない
ただの美人、美少女、ということになる
アイドルが歌うのは、神からの言伝てとして、天使としてそれを表現せしめんとする事に価値があるが、よく青春期の恋愛を歌ったりするのは、
アイドルと青春は、無垢であるという意味において、親和性が高いからであり、
また、恋愛という、人間の真理に深くかかわる事柄は、人間に説得されるよりも天使から教えを乞いたいと願う心の習性によるから、かもしれないが、
これはそもそも歌の特性として、恋愛のことを題材にしやすい事情もあるので、あまり関係がないようにも思われる
ところで青春とはなにか
「かぎりなく広い世界が存在する」と頭では認識出来ているにもかかわらず、自分がその中心だと思い込む状態のことをいう
人間は、青春を卒業しなくてはならない
青春は、反省する対象ではあっても自慢するものではない
それはつねに未熟で不十分だった状態のことを指すのだから